こんにちは、ヤス@ロコ父さんです。
早期退職に応募するまでの私の「雇用保険」に対する認識は
「月額数千円が給与控除されている」
「失業した場合に給付が受けられる」
というボンヤリとしたものでした。
長年サラリーマンをしていても人事総務の職種でもない限り
同じような認識の方々も多いのではないでしょうか?
特に近年大流行の事業構造改革(リストラ)に伴う早期退職の優遇制度が適用される場合は、
会社も一時的に特別損失を出してでも急いで固定費削減したい事情がありますので、
社員側としては十分な準備もできないで退職するケースも少なからずあります(私のように)。
その限られた時間の中で、切れ目なく再就職ができるのが理想だとは思いますが、
中高年の場合は再就職が極めてスムーズに行くケースは一般的には少ないため、
求職活動をしながら「雇用保険の失業給付」を受ける方も多いと思います。
早期退職後にお世話になる「雇用保険」とは?
「雇用保険」とは、失業した場合に再就職活動を円滑に行えるように
失業中の生活費を支援(失業給付)するための政府管掌の社会保険です。
早期退職の場合のポイント:
- 会社の早期退職制度を利用できる場合、非自発的失業者の扱い(離職理由が会社都合)となり「特定受給資格者」になることができます。倒産や解雇の場合も同様です。
- 「特定受給資格者」とは「会社都合で離職者になった人」のことです。 倒産による解雇や事業構造改革による希望退職への応募など、再就職の準備をする時間的余裕がないまま離職した場合が該当するようです。
- 失業給付をもらえる期間(給付日数)は、離職者の退職理由によって分類されていて、「特定受給資格者」は長期で失業給付を受けることができます。
- ただし、過去に雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)に応じて、「失業給付を受けられる期間」が変わってきます。雇用保険に長く加入していた方ほど失業給付も長く受けられます。
例)現在55歳で、過去に20年以上雇用保険に加入していた場合 : 330日
なお、雇用保険の給付は非課税の扱いとなります。
早期退職後の進路 & 雇用保険の給付対象 の関係
ここでは、失業者(求職者)になる選択肢以外のケースも含めて、「雇用保険の失業給付を受けられる条件」を見てゆきましょう。
ポイント:
早期退職(希望退職)で離職したからと言っても、誰もが失業給付をもらえる訳ではないようです。以下の3パターンがあります。
パターン1 : 離職後に求職活動を行う予定の方
離職後すぐには再就職しない(できない)方が該当し、失業給付の受給申請ができます。
※働く意思と能力がありながらも就職できない求職者が対象
パターン2 : 離職後すぐに再就職する予定の方
再就職先で雇用保険に加入して保険料を納めることになります。
※週20時間以上かつ1ヶ月以上の勤務が雇用保険の加入条件
パターン3 : 自営業や個人事業主になる予定の方
自営業や個人事業主になる方は、雇用保険の給付対象外になります。
雇用保険の失業給付 受給要件とは?
失業給付を受けるためには要件があります。
要件1 : 労働の意思と能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態であること
つまり、失業給付を貰うためには具体的な求職活動が必要となります。
(求職活動の実績については後の記事でご説明します)
要件2: 離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あること
特定受給資格者(つまり会社都合による退職理由)の場合、被保険者期間が離職前1年間に6ヶ月以上あること。
(育児休暇や長期入院などで休職期間があった場合は、事前に現在の会社の人事総務に確認した方が良いと思います)
失業給付の所定給付日数
雇用保険に長く加入していた方ほど失業給付も長く受けられます。
また、「特定受給資格者」と「一般受給資格者」とでは
失業給付を受けられる日数が異なります。
倒産・解雇・リストラなどで「会社都合で離職」(非自発的な理由で離職)する場合は「特定受給資格者」 となり、
「自己都合で離職」する場合は「一般受給資格者」となります。
私の場合で恐縮ですが、57歳でリストラにより早期退職したときには
勤続21年でしたので 330日 つまり11ヶ月間弱は失業給付を受けられる
ことが確認できました。
失業給付を受けられる日数:
非自発的離職者は「特定受給資格者」になれます
「倒産」「解雇」「リストラによる早期退職」など、「会社都合」で離職した場合は 「特定受給資格者」となります。
この「特定受給資格者」はどうやってなるのか?といいますと、
最初にハローワークに行くときに「会社都合による離職」と記載してある離職票を持参して「求職の申し込み」をした際に判定されることになります。
特定受給資格者の特徴
■「特定受給資格者」は「3ヶ月間の給付制限の期間」がない
全ての受給資格者は認定を受けてから7日間の待機期間があります。
その待期期間を過ぎれば、 失業給付の初回認定を受けたのちに失業給付を受けることができます。
(自己都合退職で一般受給資格者となった場合は、給付制限の3ヶ月後から受給開始)
■ 「特定受給資格者」は「受給日数」が長い
前に掲げた表の通りですが、例えば通算で20年以上にわたり雇用保険を支払った、50代後半の方の場合、330日の受給日数があります。
失業給付の具体的な金額は? いくら貰えるの?
さて肝心の給付される金額です。
離職前の6ヶ月間の賃金(賞与は含まない)をベースに「基本手当日額」として計算され、およそその50%~80%が給付されます。ただし上限額(天井)があります。
「特定受給資格者」と「一般受給資格者」とで差はなく、給付日額は同じです。
以下の表は、早期退職の典型的なパターンである、45歳以上で59歳以下の場合の日額テーブルです。
一例として、月の賃金が諸手当を除いて35万円くらいの場合、
これを30日で割ってテーブルを参照して30日分が貰えるとすると、
大体15~20万円(非課税)くらいになります。
(日額テーブルは毎年8月に見直しされます)
失業給付の日額:
失業給付の受給期間
失業給付の受給期間についてですが、
退職日翌日から1年間の受給期間において失業(求職活動)していた日について、
所定給付日数を限度として受給することができます。
ただし、ハローワークに求職の申し込みをした日以降、全ての人が待機期間として7日間の給付制限があります。
自己都合で離職した場合はさらに3ヶ月間の給付制限があり、
その期間は失業給付を受給することはできません。
中高年の早期退職ケースでの注意ポイント:
一例として、20年以上にわたり雇用保険に加入した57歳の方が「早期退職特別優遇制度」に応募して(つまり会社都合で)退職した場合は所定給付日数が330日(これが最長期間)となります。仮に離職してまもなく夫婦で1ヶ月以上のんびりと海外旅行に出掛けた場合、日本に居ないことが理由で失業認定を2ヶ月先送りしたりとすると、1年間の受給期間の終了の方が先に来てしまって330日分は受給できないケースもあるので注意しましょう。
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後編は雇用保険の受給手続きについてです。
まるわかり! 早期退職後に受給する雇用保険の失業給付 手続き (後編)