こんにちは、ヤス@ロコ父さんです。
今回は、私の「自営業(独立・起業)に対する思い」みたいなものを書いてみたいと思います。
実は私は「リアル店舗型の自営業」の家庭で育ちました。
中学生の頃、父親が化学繊維企業(当時の構造不況業種の代表格)の製造事業所(地方の工場)を希望退職し、割増し含めた退職金を元手に自営業を始めました。
いわゆる「脱サラ」というやつです。(なんと昭和な響き... 汗;)
よって、正確には(中学生になる迄はサラリーマン家庭で)
「中学生からは自営業の家庭」で育った
という事になります。
高校~大学時代の春休み・夏休み・年末・土曜日などは概ね家業の手伝いをしていました。
※ほとんどタダ働きのアルバイト... orz
今は上の兄弟が2代目として家業を継いで既に20年くらいになるので、「よく40年以上も続いたよね~」と言えますが、最初の頃は色々な苦労がありました。
※私が大学生の頃(35年くらい前)だったでしょうか、不渡り手形を掴まされて倒産の危機に瀕したこともありました。
店舗の立ち上げから約10年間にわたり家業(自営業)を手伝った私ですが、いざ自分が早期退職をしてセカンドキャリアを考える状況になっても、自営業をやることに対しては相当ためらいがあります。
目次
脱サラして自営業を始めるメリットとリスク&ハードル
当たり前の話ですが、自営業を始めるには「メリット」と「リスク・ハードル」があります。
(但しここでは、医者・弁護士・会計士・税理士などの特別な自営業の場合を除外します)
■メリット
- 定年がない
- 自分の体が動く限りは働ける
- 現場のスキル・資格・経験が身に付く
- 自分の給料は自分の働きで決まる
- 上司の指示に従わなくてよい
■リスク・ハードル
- 元手が必要(土地、建物、資金、営業的コネクション)
- 休暇が少ない(家族経営の場合)
- 10年後に存続している確率は10%以下
- 時給換算では給与が少ない
- 上司がいなくても嫌なお客様は一定数存在
私がサラリーマンになった20代の頃、父親からは、
「定年がなくていいぞ~」
「上の指示に従わなくてもいいぞ~」
って何度か言われました。
でも一方では家族経営だったこともあり、
「家族揃って夕飯を食べるのは週に1回、店休日の日曜日のみ」
「日曜日以外は兄弟だけでスーパーの(安くて不味い)店屋物を食べる毎日」
「土曜日は店舗が忙しかったため高校から部活を終えて帰ってから夜8時までお店の手伝い」
「親が連休になるのは、1月1日~3日とGWの2日だけ」
「日曜日も町内会とか野菜畑の面倒などで忙しい」
という感じで、
中学~高校の思春期を通じて、
- まともな教育的コミュニケーションはない
- 家族で旅行などしたことがない
- 小遣いは早朝の新聞配達アルバイトで自分で稼ぐ
こんな感じでしたので、私にとっては自営業は良悪半々に映っています。
(よって勉強は疎かになり、浪人してやっと国立大学に入れた)
独立&起業の身近な成功例
一方で、父親の自営業が成功した理由を、私はこう分析しています。
- たまたま先祖から受け継いできたリアル店舗に適した土地(当時は畑)が国道沿いにあった
- 国道の左右1km以内にライバルとなる店舗が無かった
- 退職金+割り増し という元手が得られた
- 業界大手の特約店・フランチャイズ店になれた
- 大手がバックに付いてくれたので足りない分は銀行が融資してくれた
- 毎日12時間以上働いても日曜日しか休めなくても苦にしない人柄だった(ただし労働密度は比較的薄い)
- 社員は雇わなかった、パート・アルバイトのみ
まぁ「本人が相当に頑張った」のと「運が良かった」の両方だったと思います。
「これの両方が揃わなければ脱サラして自営業で成功するのは厳しい」と私は考えています。
※ここで言う成功とは「起業した本人が亡くなる時も事業が継続している状況」を意味します
特に、
「土地が自分の所有だった」
「立てた建物や設備も自分の(会社の)所有だった」
「社員を雇わず家族経営に徹した」
これらのポイントが一番大きかったと考えています。
自営業と個人事業主
ところで、自営業者と個人事業主は何が違うのでしょうか?
結論から言うと「自営業の形態の一部に個人事業主という存在がある」という事のようです。
まぁ私の知り合いにも、
普通のサラリーマン ⇒ (定年)退職 ⇒ 個人事業主
というパターンが一定数あったりしますが、この場合は
「契約社員・嘱託社員のような雇用契約が業務委託契約に切り替わっただけ」
「仕事の実態は大きく変わっていない」
という場合もあります。
もちろん個人事業主になると売上・経費の管理や税申告のやり方は大きく変わります。
ですがこの場合は、全てのメリットが享受できるとは限りませんし、全てのリスク・ハードルを背負わなければならないとも限りません。
一方で「典型的な自営業(※)を退職後に始める」というケースでは上記のメリットとリスク・ハードルの大部分が当てはまります。
※例えば、店舗型のコンビニ・クリーニング屋・弁当屋・電気屋・ガソリンスタンド、あるいは無店舗の便利屋・通販など
会社を退職後に店舗型・無店舗型のいわゆる「一般的な自営業」を開始するためには、上記のリスクをいかにクリアするかが課題です。
とくに私の様な「大企業で技術職のサラリーマンをやってきた中高年」にとって「自営業を始めるのは相当にハードルが高い」と考えています。
独立&起業が失敗する要因
今では「個人事業主」「フリーランス」は一般的になりました。
私自身も「5年くらい前から副業とセットで考えて取り組んでおけば良かったかな」と少し後悔してます。
ですが、実際に追い込まれてみないと、人はなかなか具体的な行動には移せないものです。
これまでに何人かの、会社の先輩やご近所の中高年の方々が自営業(独立・起業)を始めるのを近くで見てきました。
結論から言うと「数年で廃業あるいは撤退するケースが多かった」のです。
その要因について私は以下のように考えています。
独立&起業が失敗する要因の一例:
[1] コネクションに対する自信過剰
それまでの仕事上のコネクションで暫くは売上がキープ出来た。しかし時とともにそれらの力は失せて行く。新規顧客開拓が思うように進まなかった。
[2] 自分のスキル&経験に対する自信過剰
特にIT系の分野は変化が激しい。例えばリーマンショックまではアプリの利用者端末もPC中心で考えれば良かったが、それ以降ではスマホ中心に考えなければならなかった。昔の成功体験から抜け出せず、古くさい企画のまま進めてしまい売り上げ低迷。
[3] 景気循環や構造不況に対して楽観視
リーマンショックから回復した後は右肩上がりの成長を続けてきた。独立&起業して、そのまま右肩上がりで事業計画を立てていたが、中国市場の変調により打撃を受ける。
これまでの仕事の延長線での自営業は難しい
IT系エンジニアな私が20代~30代中盤の頃は、
「自分自身が中高年になった時の備えのためにも資格を取っておこう」
と考えて
「仕事上で縁のある国家資格をできるだけ取得」
してきました。
単なる資格マニアではなくて、実務の経験を生かしながら資格を取得して、実務でも使ってきた(=現場の業務に生かす)資格でした。
取得した資格(古い順):
- 第1級陸上無線技術士
- 第1種伝送交換主任技術者
- 工事担任者(アナログ1種、デジタル1種)
- (危険物取扱者乙種四類)
- 情報処理技術者ネットワークスペシャリスト
- Cisco, LPIC, etc.
これらの資格取得に注ぎ込んだ労力をもってすれば税理士か会計士の資格は取れていた事でしょう。
しかし今になって思う事は、
- 会社の従業員の時代は、資格を取得すると△万円の報奨金が貰えた
- 毎月△千円の資格手当も貰えた
- サラリーマンのエンジニアであれば転職とかする際は有利になる
という経済的メリットは確かにありましたが、
- これらの資格で独立&起業は難しい
- ピンとなって飯が食えるIT系の資格はあまり無い
という現実にぶつかりました。
一方で、工業高校などに進んで「電気工事士」の資格を持っていれば、中高年になっても軽バンに乗って電気工事の自営業をすることは可能でしょう。
(営業的コネクションの確保が一番の課題だとは思いますが..)
ですが、一般的には大手企業に勤務するIT系技術者の方が30代~40代は圧倒的に収入が多いはずなので、一概にどちらが損でどちらが得かは言えないと思います。
一般論ですが、
- IT系エンジニアが中高年になって退職した後に、これまでの仕事の延長線上で自営業を始めるのは難しい
- 施工や工事と違ってエンジニアリングは組織的な仕事が多く、事業インフラの構築・維持も個人で何とかなるレベルではない
- フリーランスとして大手企業のコストダウンに利用されるテンポラリ的・非正規的な扱いがほとんど
となるようです。
自分自身のセカンドライフ・セカンドキャリアに向けて、
- 契約社員や嘱託としてIT系エンジニアをやるのも悪くはないかも知れませんが
- 60歳になる前に再度「どうしよう?」と悩むことを想像すると
- 「直接的に人に喜ばれる働き方」「定年をきにしない働き方」を模索してみるのも良いかも?
- ただし店舗型の自営業はなるべくやりたくないな
と考えている今日この頃です。
以上ご参考になれば幸いです。