こんにちは、ヤス@ロコ父さんです。
今回は「退職時に徴収される税金」についてご紹介します。
65歳以降の老後に備えて退職金の大半を温存する方が多いと思いますが、
「実際に受け取る退職金が、税金によってどのくらい目減りするのか?」
を知っておいても損はありません。
この記事で理解できること:
・退職月給与から徴収される住民税について
・退職金から徴収される退職所得税について
・退職所得税における勤続年数による不利、有利について
・退職金から徴収される住民税について
では、住民税と退職所得税について理解を深めてゆきましょう。
退職後の住民税について
会社に在籍中は毎月給与控除して会社から市町村に住民税(市町村民税+都道府県民税)を納付していました。
退職後にしばらくは雇用保険の給付を受ける方は、各自で納付する必要があります。
住民税は、1月~12月の1年間の所得に応じた税額を、次年度の6月~翌年度の5月までの12回(毎月)に分割して納付します。
例:
2020年6月から12回に分割して納付する税額は、2019年1月~12月の給与所得から算出されます。
(一般的には、退職後の失業給付金に比べると住民税がかなり高額に見えます)
住民税のもう1つのポイントは「退職月の住民税の控除額」です。
退職するタイミングにより退職月の給与手取り額が激減することがありますので注意が必要です。
■ 1月~5月に退職する場合
退職月~5月分までの分を「一括徴収」
※例えば、3月に退職した場合は3ヶ月分の住民税が退職月である3月の給与から一括で控除されます
(場合によっては市町村の納税通知書で普通徴収となる場合もあり)
■ 6月~12月に退職する場合
退職月は通常の1ヶ月分だけ退職月の給与から控除される「普通徴収」。
その後は市町村の納税通知書で普通徴収される。
■ いづれの場合も、翌年度以降の住民税は5月頃に届く市町村の納税通知書に従い納付します
退職金の所得税(退職所得税)
退職金に課せられる所得税は通常の給与や賞与に課せられる税率とは異なります。
高額な一括所得でも徴収額が少なくなるように優遇されています。
詳細は「国税庁のホームページ」
退職金と税 で確認することができます。
やや面倒な計算式ですが、ポイントは
・勤続年数が長いと退職所得控除(非課税部分)が大きくなる
ことです。
勤続年数が短いと退職所得税を多く徴収される?!
■ 例1:勤続30年の人が退職金を2,500万円受け取った場合
退職所得控除額:800万円 + 70万円 x (30年 - 20年) = 1,500万円
課税退職所得金額:( 2,500万円 - 1,500万円 ) ÷ 2 = 500万円
所得税額:500万円 x 0.2 (税率) - 42万7500円 = 57万2500円
復興特別所得税額:57万2500円 x 0.021 = 1万2022円
合計の税額:58万4522円 ( 退職金の 2.3% )
■ 例2:勤続20年の人が退職金を2,000万円受け取った場合
退職所得控除額:800万円 + 70万円 x (20年 - 20年) = 800万円
課税退職所得金額:( 2,000万円 - 800万円 ) ÷ 2 = 600万円
所得税額:600万円 x 0.2 (税率) - 42万7500円 = 77万2500円
復興特別所得税額:77万2500円 x 0.021 = 1万6222円
合計の税額:78万8722円 ( 退職金の 3.9% )
いかがでしょうか?
転職を経験している勤続年数が20年の人は、
ただでさえ退職金が少ないのに、
勤続30年の人よりも20万円以上も多く税金を取られているのです。
これは今日の(転職が当たり前になった)ご時世からすると明らかにおかしいと思います。
日本のバブル崩壊後は、いち早く退職金への課税・税率も見直すべきでした。
注意点:
・退職所得税の他に、住民税として50万円が特別徴収されます
まとめ
・退職する月によっては退職月給与から控除される住民税が通常の数倍になる
・退職後も最長1年間はこれまでの高額な住民税を支払うことになる
・退職金から控除される所得税(退職所得税)は勤続年数が長いと有利、短いと不利
・退職所得税の他に住民税として 50万円 が特別徴収される
現行税制の一番の問題点は、以下の通り。
■ 勤続年数によって税率が1.5倍以上違う
⇒転職を多くした人が退職金課税で損をする制度になっている
■ 退職金を多くもらった人の方が税率が低い
⇒累進課税のロジックに合致していない
今や日本でも終身雇用制度は崩壊の過程にあります。いや既に崩壊していると言っても過言ではないかもしれません。
日本においても会社に就職してからの30数年間で、1回や2回の転職は当たり前の時代になりつつあります。
ところが「退職所得税については、転職をした人は不利」になっているのです。
転職しても「せめても税率は一定にすべき」だと思います。
以上ご参考になれば幸いです。
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